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2019.05.01

【特集】のとキリシマツツジをモチーフにした日本酒『紅い花』をお披露目です。

桜の見頃がひと段落すると、能登では真っ赤なのとキリシマツツジが満開になります。2019年春、のとキリシマツツジをモチーフにした赤色の日本酒を造りました。誕生まで約3年、お酒に込めた思い、完成までの道のりのおはなしです。(語り:代表・蔵元杜氏/中島遼太郎)

先代の技と思いを受け継いだ
新しい日本酒

能登末廣中島酒造店は寛文年間から350年以上続く家柄で、酒蔵の創業は明治期です。輪島では「伝兵衛」の屋号で親しまれてきました。日本酒業界では蔵元とは別に製造責任者である杜氏が酒を仕込むスタイルが主流ですが、私たちは蔵元自ら酒を仕込むオーナー杜氏の蔵として歴史を重ねてきました。現代では蔵ごとにさまざまな製造スタイルがありますが、オーナー杜氏を続けてきたことは私たちの誇りでもあります。

先代である父は、チャレンジの人。新しいことに取組み、人に喜んでもらうことが好きでした。当蔵の看板商品である純米桃色にごり酒『花おぼろ』は、父が試行錯誤し、生み出した新しい日本酒です。製造の秘密は酵母にあり、赤色清酒酵母菌を自然発酵させ、酵母が自ら発色することで美しい桃色に仕上がります。赤色清酒酵母菌は繊細で扱いが難しいため、父はずいぶん苦労したようです。他の酵母の影響を受けないように、製造工程を完全に分けるなど工夫をしました。

のとキリシマツツジが咲く頃、
「今年もあの紅い酒を飲もう」

先代が造った『花おぼろ』を進化させたのが、今回完成させた『紅い花』です。ISICO(石川県産業創出支援機構)の支援を受け、能登の里山を彩るのとキリシマツツジのような赤色の日本酒造りを目指しました。でも、最初はうまくいきませんでした。日本酒を桃色や赤色に色づかせるノウハウを唯一知っていた父が急逝したこともあり、試行錯誤の毎日。父と一緒に酒造りをしてきた蔵人たちに協力してもらいながら、製造工程を調整することで透き通った赤色に仕上げることができました。石川県内で、桃色や赤色の日本酒を醸造しているのは、私たちだけ。赤色清酒酵母菌は繊細で、扱いが難しいため、全国でも使用する酒蔵が少ないのです。

日本酒を紅麹や古代米で着色する方法もありますが、すっきりとした味わいを生み出すため、私たちは酵母を使った醸造にこだわりました。『紅い花』は甘味と酸味のバランスがよく、清酒らしい美味しさを楽しむことができます。何より鮮やかな赤色は見ているだけで心が華やぎ、お祝いや花見など楽しい宴席にぴったりです。里山に能登キリシマツツジが咲く頃、「輪島の紅い酒を飲みたい」と思っていただければと思います。

合わせる料理も、グラスも自由に!
日本酒を気軽に楽しんでほしい

日本酒にどんなイメージをお持ちでしょうか。蔵を継ぐ前、私は「日本酒といえばどっしりとした辛口の酒」という印象を持っていました。しかし、いろいろな蔵元の酒を飲んでみると、ほんのりと黄色に仕上がったものもあれば、桃の香りがするものもあり、バラエティの豊富さにふれることでその印象は変わりました。醸造の仕方次第で、味、香り、色でも個性を出せる日本酒に可能性を感じたのです。蔵を継いだ今、先代の味を大切にしながら、日本酒を進化させたいと思っています。『紅い花』はそんな思いを象徴する銘柄です。

アルコール度数は10度前後と低めで、食前酒としてもおすすめ。華やかな色はワイングラスに注いでも絵になります。よく、「どんな料理に合いますか」と聞かれますが、甘味の中に清酒らしいすっきりとした酸味があるので、相性のよい料理の幅も広いと思います。和食はもちろん、イタリアンやフレンチとも一緒に楽しんでほしいです。春の花がモチーフの日本酒ですが、季節を問わず一年中飲むことができます。このお酒がきっかけとなり、日本酒に興味を持ってくれる方が増えればうれしいです。

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